[概要]
粒子Bはメカノケミカル処理を行った粒子で、この粒子で製品を作成すると強固で丈夫な性質を有していました。しかし、新しい処理をした粒子Aでは頑丈な部品を製作することができません。
この原因を探るため、実際の樹脂に粒子A、Bを製品と同濃度で分散させ、緩和時間を測定し粉体の濡れ性の比較を行いました。
[実験]
1. シリカ系フィラー(粒子径:1μm未満)A,Bを光硬化樹脂(160mP-s)に粒子濃度50wt%以上で混合しました。
2. 1を公自転式攪拌脱泡装置カクハンターSK-400TR(㈱写真化学製)にて分散しました。
3. MagnoMeter SED VTで緩和時間を測定し、粉体A,Bの濡れ性の比較を行いました。
[結果]
緩和時間から算出したRsp値をグラフに示します(緩和時間測定による分散性評価の⑥式参照)。
Rsp値が大きい程濡れ性が良く、分散性が良いといえます。
この結果から粒子A,Bの濡れ性は、
良 粒子A > 粒子B 悪
ということがわかりました。
[考察]
①多くの場合、濡れ性が良いと分散性が均一になり、強固で丈夫な製品が出来上がると考えられます。
モノマーでは粒子Bの方が濡れ性が悪いという結果が得られましたが、重合してポリマーになったときに極性が変わり、粒子Bの方が濡れ性が良く分散性が良くなった可能性が考えられます。
②濡れ性が悪いと、凝集体を形成することが多くあります。粒子Bは濡れ性が悪い事から凝集体を形成し、光がより樹脂に到達しやすくなり強固になった可能性が考えられます。
パルスNMRでの結果のみではどちらが正しい考察であるか判断は出来ませんが、高粘度な媒体に分散した試料であっても粒子界面の違いを数値化する事が出来ました。