70%スラリ-分散終点

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ビーズミルによる最適な分散時間を3つの測定手法から検討

【概要】
ビーズミルで処理したチタン酸バリウムの濃厚スラリーの分散終点の探索を、動的粘弾性測定装置(レオメーター)、パルスNMR、遠心式分散性・粒子径分布測定装置を用いて行いました。

        パルスNMR:MagnoMeter SED
        動的粘弾性測定装置(レオメーター):アントンパール社製 MCR302e
        遠心式分散性・粒子径分布測定装置:LUMiSizerⓇ

【実験】

分散機を用いてチタン酸バリウム(固形分濃度:約70wt%)をトルエン、エタノール混合溶媒に分散させ、その処理時間ごとに下記の評価装置で測定を行い結果を検証しました。

1. パルスNMRを用いて、緩和時間を測定しました。
2. レオメーターを用いて粘度・動的粘弾性測定を行い、過分散境界と分散性良好条件を判定しました。
3. 遠心式分散性・粒子径分布測定装置を用いて沈降速度分布を求めました。


MagnoMeter SEDを用いて、濃厚分散体の緩和時間を測定しました。
緩和時間が短いほど比表面積が大きく、分散性が高い事を示しています。

また、スラリー中に、細孔粒子や溶媒を囲い込むような凝集体が存在する場合、パルスNMRで測定すると非常に短い緩和時間を持つ成分(短成分)が現れます。
本分散体は分散媒のみでは短成分は存在しませんでしたが、粒子が分散した系においては全ての分散体にて短成分が存在しました。この短成分の存在割合が多いほど、細孔や溶媒を囲い込む様な凝集体が多いと考えられます。

濃厚スラリーの滞留時間と緩和時間

測定結果から、滞留時間が長くなるほど緩和時間は短くなっています。

しかし、緩和時間は粘性にも影響を受けるため、緩和時間のみから分散終点の予測は困難でした。

ここで、短成分の存在量に着目しますと、33.4min以降で短成分の存在割合が急激に増えています。このことから、33.4min以降で溶媒を囲い込むような凝集体の形成がされていると予測されます。



次に、レオメーターを用いて粘度・動的粘弾性測定を行った結果を示します。
パルスNMRによる濃厚スラリ-の分散終点
 *実験協力:MSサイエンティフィック株式会社様                   

分散時間8.4-25.1minにおいてはニュートニアン流体に近い結果が得られました

分散時間33.4min~83.5minにおいてはshear-thinning性が確認されました。

shera-thining性は凝集体の崩壊を示しています。
この結果から過分散境界は25.1minであると考えられます。

                  パルスNMRによる濃厚スラリ-の分散終点



次に遠心式分散性・粒子径分布測定装置 LUMiSizerⓇを用いて沈降速度分布を求めました。


*実験協力:LUM JAPAN株式会社様

この結果から滞留時間33.4min~のサンプルには粗大粒子が多く含まれているのが分かります。

また、25.1minの物には粗大粒子が少なくピークがシャープな事が分かります。

この結果はパルスNMRおよびレオメーターの結果を裏付ける物となりました。


【結果】

緩和時間が滞留時間が長くなるほど短く得られているのは粘性が高くなっていった影響を受けたと考えらます。しかし多成分解析による短成分の存在に着目すると33.4min以降で短成分の存在割合が増加している事が確認されました。25.1minが最も分散性が良好であり最適な分散時間であることが予測されました。

しかしNMRの結果だけでは確証は持てませんでした。

レオメーターによる測定より、過分散境界は25.1mmと推測できました。

沈降速度分布測定より、33.4min以降に粗大粒子が多く含まれていることがわかりました。

【考察】

レオロジー特性評価・沈降速度分布測定よりパルスNMRによる緩和時間から得られた結果を裏図ける事が出来き、滞留時間25.1minのサンプルが一番良い分散状態である事が確認する事が出来ました。

多方面から評価することで各評価の結果を裏付けあう事が出来ました。複雑な濃厚スラリーの分散性評価において、1つの原理手法のみにて評価決定するのではなく、原理の異なる手法により多角的に評価することが重要であると考えます。


 
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