[概要]
リチウムイオン電池の負極材の分散性をイメージしカーボンブラックをNMPにPVDFを添加した溶液に条件を変えて分散させ、分散直後と1日後の緩和時間を測定しました。
得られた緩和時間から分散性の比較を行いました。
[実験]
1. カーボンブラック(カーボンブラック JIS Z8901試験用粉体(粒子径:60nm))を30wt%になるようにNMPとPVDFを混合した分散媒に添加しました。
2. 表の条件で、公自転式攪拌脱泡装置カクハンターSK-400TR(㈱写真化学製)にて分散しました。
3. 得られた攪拌条件の異なる4種類の分散体の緩和時間を、MagnoMeter SEDで測定しました。
C12, 13に関して攪拌条件は同一ですが、溶媒を分けて投入したためC13のほうが攪拌時間がより長くなっています。
分散前後の写真を以下に示します。
30wt%カーボンブラック分散体の分散前後の様子
[結果]
分散条件と分散度の関係を以下に示します。
分散度は、最も緩和時間が短かった分散条件C13の緩和時間を用いて、緩和時間測定による分散性評価の④式のSが100㎡/gになる様にKaを決定した相対値です。
攪拌条件の違いと分散度
[考察]
●分散直後
次の順番で分散性が良いことが示唆されました。
C13 > C12 ≒ C11 > 手混ぜ
●一日後
分散直後と比較して、せん断力が弱かった手混ぜおよびC11は分散度が小さくなりましが、せん断力が大きかったC13は分散度が大きくなりました。
この結果から、分散が不十分である場合は継時により分散性が下がり、分散力が適切な場合は継時により分散性が上がる可能性が示唆されました。
⇒このように高濃度かつ黒色試料であっても、希釈せずに分散性を数値化して比較する事ができました。