[概要]
ロットの異なる6種類の粉体はBET法による比表面積測定により品質管理されているものでした。パルスNMRにて測定した緩和時間から算出した比表面積とBET法により得られた比表面積に相関関係が得られれば粉体の界面特性は同一と言え、緩和時間から比表面積を得る品質管理が可能になります。
そこで、相関直線が得られるか確認を行うためにロットの異なる6種類の粉体を蒸留水に分散させ、緩和時間の測定を行いました。
[実験]
1.6種類の粉体を同濃度(10wt%)にて水に分散させました。
2.超音波バスにて10分分散し、緩和時間の測定を行いました。
[結果]
分散体A-1から得られた緩和時間がBET値と同一になる様に、拘束層の厚みKa値を緩和時間測定による分散性評価の④式から算出しました。
結果を表1に示します。
表1ロットの異なる粉体のBET比表面積とNMRによる比表面積の比較
BET比表面積と緩和時間から算出した比表面積の関係を、グラフ1に示します。
グラフ1 BET比表面積と緩和時間から算出した比表面積の関係
1本の相関直線ではなく2直線で示されました。つまり化学的特性が異なる2種類の粉体か存在することが示唆されました。そこで、濡れ性を示すRsp値と総表面積の関係をグラフ2に示します。
グラフ2 Rsp値と総表面積の関係
ほぼ2直線で示され、B-1,2,3のほうがA-1,2,3より濡れ性が良いことがわかりました。
[考察]
AとBの粉体は製造ラインが異なるもので、Bは新設された製造ラインの粉体でした。
このように、他の評価法では数値化が難しい僅かな粉体界面の違いもパルスNMRにて数値化する事が可能であり、多くの分散体や粉体を用いた製品の問題解決に役立つと考えます。